全体図
GPS軌跡 1
GPS軌跡 2
もう一年前の記録になりますが(2010年夏)、家族が里帰りした束の間の夏休みを利用して、吉野から熊野まで大峯奥駈道を縦走してきました。
1日目7/31朝、津駅から近鉄電車で吉野まで。吉野駅はまさにターミナルといった駅だ。
吉野駅を8:00に出発。つづら折りとなった登山道を登っていくと、吉野山の参道に出る。しばらく登っていくと蔵王神社の大きな仁王門の前にでる。今年は9月から蔵王権現が御開帳となるそうだ。さらに、水分神社、金峯神社をすぎると、ようやく山道となる。
しばらく登ると青根ヶ峰に着く。さらに展望の良い四寸岩山を超え、しばらく行くと二蔵宿の山小屋にでる。ここから大天井岳は東側斜面を巻く巻き道を行く。巻き道には途中2か所、水場がある。主稜線にもどると五番関、女人結界の門がある。ここから山上ヶ岳への登りにかかる。
同辻茶屋まで来ると、洞川温泉からのたくさんの装束を着た参拝登山者と出会う。1日に数百人は参拝登山をしているのではないだろうか?反対に一般の登山者にはほとんど出会わなかった。参拝登山者とすれ違うと「ようお参り」と挨拶される。 こちらもよくわからないまま、「ようお参り」と、挨拶を返すのだが、これでいいの!?山上ヶ岳山頂直下にはたくさんの宗教施設とともに宿坊が建ち並ぶ。
山上ヶ岳を過ぎると再び静寂の尾根道となる。しばらく行くと小笹ノ宿に着く。小笹ノ宿は小さな沢のほとりに立つ小さな小屋だ、5名程度収容可能。まだ16時過ぎだが、今日の行程はここまでとする。小屋には単独行の方が一人先着されていた。しばらく雑談し、18時には眠りについた。
2日目8/1、翌朝、ヘッドランプを点け5:00に小笹ノ宿を出発。大普賢岳、国見岳、七曜岳、行者還岳、いくつもピークを越えていくがガスが濃く展望はない。行者還岳南面、行者還小屋は綺麗で立派な小屋、30人は収容可能。
弥山まではなだらかな長い尾根。行者還トンネルの真上を越えると一ノ垰。一ノ垰の避難小屋は床もなく使うのにはちょっと厳しい。主稜線は西に折れ、しばらく進むと行者還トンネルからの登山道と出会う。行者還りトンネルからはたくさんの登山者が登ってくる。参拝登山者が多かった山上ヶ岳とは違って、こちらはハイカー登山者がほとんどだ。
いくつもの茶屋や宗教施設を過ぎ、最後の急登を登ると弥山に着く。宿坊が建ち並ぶ山上ヶ岳とは異なり、弥山には立派な弥山小屋がある。やはり展望のない弥山山頂をピストンし、八経ヶ岳を目指す。八経ヶ岳一帯はオオヤマレンゲの保護区になっており、シカよけの柵が設置されている。八経ヶ岳、近畿の最高峰だがやはり展望なし。
八経ヶ岳を過ぎると、また静寂の尾根道となる。一帯はトウヒ、シラビソの素晴らしい原生林だ。
二重山稜となった舟ノ垰、楊子ノ森を越えると楊子ノ宿に着く。楊子ノ宿小屋も綺麗で立派な小屋だ、20人程度収容可能。ここで水を汲み大休止。楊子ノ宿の水場は、小屋前の沢ではなく小屋の右奥5分程下ったところにある。
釈迦ヶ岳まではまだまだ長い尾根を越えていく。孔雀岳を越えると随所に岩場が現れる。大きな岩壁を左に巻き、きつい急登を登るとようやく釈迦ヶ岳山頂だ。釈迦ヶ岳山頂にはお釈迦様の銅像と大きな錫杖がある。釈迦ヶ岳も展望なし。
釈迦ヶ岳からは長い急坂を300m下る。疲れた足には結構きつい。深仙ノ宿には17:11着。深仙ノ宿はコルに立つこじんまりした小屋、5名程度収容可能。東側は崩落しており滑落に注意が必要だ。稜線東側の岩場からしみ出す香精水という水場がある。
3日目8/2、翌朝、ようやく晴天に恵まれる。気持ちの良い朝日の中、6:10深仙ノ宿出発。太古ノ辻、嫁越峠を過ぎ、涅槃岳、証誠無漏岳を越える。証誠無漏岳の南の鞍部には林道が通じており、持経ノ宿の小屋がある。持経ノ宿は古い造りだが、20人程度収容可能な大きな小屋だ。小屋の中で小休止していると、何人か林道から登ってきた。聞くと昨日から山に入った登山者が不明になっているとのこと、神仙ノ宿からここまで誰にも会わなかったことを伝える。後日下山後、無事見つかったことを確認しひと安心。
持経ノ宿から少し登ると大きな桧の大木がある。平治ノ宿も15人程度収容のこじんまりとした小屋。転法輪岳、倶利伽藍岳、さらに長い尾根をたどり、行仙岳を越えると行仙宿山小屋に着く。14:37着。行仙宿山小屋は40人程収容できそうな大きな立派な小屋だ。水場までは小屋の南斜面を10分程下ったところにある。立派な山小屋を今日も独り占めだ。
4日目8/3、5:14に行仙宿山小屋出発。奥駈道最後の1,300m峰、笠捨山に取り付く。笠捨山には6:32着、展望なし。ここから、地蔵岳、香精山等アップダウンを繰り返し、岩ノ口660mまで下る。とくに貝吹金剛からの下りは足にこたえる。岩ノ口まで下ると今度は玉置山まで長い長い光度差400mの登りだ。林道まじりの尾根道を延々とたどり、最後のカツエ坂を登ると玉置山山頂に着く。玉置山は一等三角点とシンプルな石標しかなく素朴なたたずまいだ。
山頂から階段を下ると、杉の巨木が茂る玉置神社の境内に入る。玉置神社は熊野本宮の奥宮、豪壮な入母屋造りの本殿は、そびえる巨杉と相まって古色蒼然とした雰囲気を醸し出している。社務所前の水場で小休止させてもらい、本宮を目指して先を急ぐ。
玉置辻まで下り、最後の1,000m峰大森山を登る。大森山から林の切れ間に遠く本宮熊野川の川原が見えた。あとは本宮まで下るだけだ。しかし本宮までは長大な尾根、まだまだ、五大尊岳、大黒天神岳等のピークを越えていく。
吹越峠に18:42着。もう日は沈み、明るいうちにできるだけ下る。七越峰19:10着。ここで完全に日が暮れた。本宮へはここから西に下らなければならないが、間違えて高津橋への道に入ってしまう。ヘッドランプ行動で下山し高津橋を渡る。
今日は風呂に入り布団で寝たいところ、熊野川を遡り請川で宿を探すが見つからない。中華料理店で聞くと本宮にも宿はなく、川湯まで行けば温泉宿があるという。そこで大塔川沿いに2km程遡り川湯温泉へ。もう9時近いが、ありがたいことに一軒の温泉民宿で素泊まりさせていただいた。内湯は掛け流しの素朴な湯、目の前の大塔川の川原で砂を掘ると温泉が湧くという。
8/2、実質昨日までで奥駈道縦走は終了だが、やはり本宮まで行かねばならぬ。朝食をサービスでいただき、8:20川湯温泉出発。温泉と温泉をつなぐその名も温泉トンネルを越えて渡瀬温泉へ。美しい四村川の清流沿いに下り熊野川へ。本来降りてくるはずだった備崎橋を過ぎ、熊野本宮大社大斎原に9:24到着。
しばらく大斎原や本宮界隈を散策し、帰りは新宮までバス、新宮からはJR特急で津まで帰った。
コースメモ:
・小屋の状況
奥駈道北部から中部には適当な間隔で避難小屋が整備されている。どれも新しく綺麗な小屋だ。ただし南部は行仙宿山小屋から本宮まで避難小屋はない。
二蔵宿小屋 10人収容
山上ヶ岳宿坊
小笹ノ宿小屋 5人収容
行者還ノ宿小屋 30人収容
一ノ垰避難小屋 ×使用不可
弥山小屋 営業小屋、1泊2食付き8,000円要予約。
楊子ノ宿小屋 20人収容
深仙ノ宿小屋 5人収容
持経ノ宿小屋 20人収容
平治ノ宿小屋 15人収容
行仙宿山小屋 30人収容
・私が縦走した時分(7月〜8月)は、奥駈道全体にわたって常に大量の吸血性の羽虫(何かよくわからない)に本当に苦しめられた。夏場はお勧めしない。南部はヒル、ヤマダニにやられるとの情報もあったが、今回は大丈夫だった。
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大峯奥駈道、吉野、熊野
7/31 | |
8:30 | 近鉄吉野駅(729m) |
8:57 | 金峯山寺(810m) |
10:05 | 金峯神社 |
10:19 | 青根ヶ峰(857.9m) |
11:48 | 四寸岩山(1235.6m) |
12:30 | 二蔵宿(1040m) |
13:00 | 水場(1140m) |
13:40 | 五番関(1211m) |
15:36-44 | 山上ヶ岳(1719.2m) |
16:18 | 小笹ノ宿(1620m) |
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8/1 | |
5:00 | 小笹ノ宿出発(1620m) |
6:10 | 大普賢岳(1779.9m) |
6:44 | 国見岳(1655m) |
7:15-25 | 七曜岳(1584m) |
8:12 | 行者還岳(1546.2m) |
8:30 | 行者還ノ宿(1420m) |
9:23 | 一ノ垰(1460m) |
11:13 | 弥山(1895m) |
11:38 | 八経ヶ岳(1914.6m) |
12:56 | 舟ノ垰(1594m) |
13:44-14:07 | 楊子ノ宿(1594m) |
16:30-35 | 釈迦ヶ岳(1799.6m) |
17:11 | 深仙ノ宿(1500m) |
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8/2 | |
6:10 | 深仙ノ宿出発(1500m) |
6:33 | 太古の辻(1450m) |
8:00 | 嫁越峠(1350m) |
8:20 | 地蔵岳(1464m) |
9:27 | 涅槃岳(1375.9m) |
9:52 | 証誠無漏岳(1301m) |
10:34-11:04 | 持経ノ宿(1050m) |
11:53 | 平治ノ宿(1140m) |
12:22 | 転法輪岳(1281.2m) |
14:16 | 行仙岳(1226.9m) |
14:37 | 行仙宿山小屋(1080m) |
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8/3 | |
5:14 | 行仙宿山小屋発(1080m) |
6:32 | 笠捨山(1352.3m) |
8:14 | 香精山(1121.5m) |
9:49 | 岩ノ口(660m) |
10:55 | 花折塚(952m) |
11:38 | 玉置山山頂(1076.4m) |
11:47-12:00 | 玉置神社(1020m) |
12:25 | 玉置辻(750m) |
13:40 | 大森山(1078m) |
15:11 | 五大尊岳(825m) |
16:37 | 大黒天神岳(573.6m) |
17:36 | 山在峠(265m) |
18:42 | 吹越峠(310m) |
19:10 | 七越峰(262m) |
19:56 | 高津橋(90m) |
20:52 | 川湯温泉(70m) |
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8/4 | |
8:20 | 川湯温泉出発(70m) |
9:24 | 熊野本宮大社大斎原(50m) |
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近鉄吉野駅。
金峯山寺の仁王門。
青根ヶ峰山頂。
二蔵ノ宿。
山上ヶ岳北側の女人結界。
山上ヶ岳山頂。
行者還小屋、きれいで立派な小屋。
一ノ垰避難小屋、使うのにはちょっと厳しい。
弥山山頂。
八経ヶ岳山頂。
緑の尾根道。
カラハッソウ谷源頭。明るく開けた谷だ。
楊子ノ宿小屋。
鳥の水の水場。
苔むす稜線。
釈迦ヶ岳への登りに現れた岩壁、これは左に巻く。
稜線上に仁王立ちするシカ。ちょっとどいてくれ。
釈迦ヶ岳山頂。
釈迦ヶ岳山頂から証精無漏岳方面を望む。
天狗山から笠捨山方面を望む。
妻越峠付近の稜線。
持経ノ宿付近の桧の巨木。
平治ノ宿。
行仙宿山小屋。30人以上収容できそうな立派な山小屋だ。
玉置山への最後の登りカツエ坂。
玉置山山頂。
玉置神社。
大森山から熊野本宮が見えた。
大森山山頂。
雄大な熊野川と熊野本宮。
七越峰で完全に日が暮れた。ここで痛恨の進路ミス。。
大塔川沿いにある川湯温泉。
四村川の清流。
熊野川、本宮方面。
熊野本宮大斎原。
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