2011年 7月 2〜 3日
大峰・弥山川から弥山・八経ヶ岳


弥山川沿いの双門コースをたどり、苔むす緑の山脈・弥山、八経ヶ岳を登ってきました。
弥山川沿いの双門コースをたどり、苔むす緑の山脈・弥山、八経ヶ岳を登ってきました。

GPS軌跡
GPS軌跡


 7/2朝、7:00に津市を出発。R165、R370を経由して、吉野下市口から天川村へ入る。天川村川合から川迫川をさかのぼり、熊渡(弥山川出合)に車を止める。橋のたもとに6台ほどの駐車スペースがある。すでに4台とめられている。

 身支度をして11時に出発、橋で川迫川左岸に渡る。沢の岩にはツツジの花が咲いている。しばらくは弥山川左岸の林道を歩く。林道入口にはレトロな雰囲気の双門コースの案内図がある。

 30分程歩くと林道が行き止まりになる。登山道への道標はないが、禁漁の看板を目印に左の小道に入り川床へ降りる。弥山川は伏流水となっており、白川八町と呼ばれる涸れた河原を歩く。やがて水流が現れ、大きな淵をもつガマの滝に着く。

 ガマの滝の手前で右岸に取り付き、滝と関電の施設を高巻く。ここからしばらくは登山道は右岸をへつるようにつけられ、橋や梯子、鎖場が連続する。特に難しいところはないが、濡れていると非常に滑りやすく注意が必要。コース全体を通して橋や梯子の類はしっかりしているが、自己責任でテスティングをしながら通行する。

 やがて再び川床へ戻り左岸に渡る。ここは靴を脱いでの渡渉となる。左岸につけられた登山道を進むと岩場にでる。支点、お助けロープ等が設置されているが、登山靴で濡れた大岩を超えて行くのはやや厳しい。岩場を超えると一ノ滝手前の吊り橋にでる。一ノ滝は2段60mほどの滝だ。滝を見ながら吊り橋を渡り、急登を登ると梯子場にでる。急傾斜の梯子がいくつも連続する。この梯子、2本の鉄棒を溶接して段を作ってあり、見たところ新しく頑丈にみえるのだが、時々鉄棒が1本しかない段がある。これって、1本取れたってこと!?

 さらに岩場を超えると小ピークに出る。晴れていれば展望が素晴らしいのだろうが、今日は霧が立ち込め視界がない。ピークを過ぎると下り梯子となり、滝見平まで降りる。滝見平からは双門の滝や大岩壁が見えるそうだが、今日は展望はなく滝の轟音だけが聞こえる。

 再びしばらく登ると尾根道となり、さらに登るとザンギ平の肩に出る。ザンギ平の肩には方向を指示する道標はないが、川床へ向って下り階段が設置されている。しばらくこれを下ると弥山川の川床に出る。右岸につけられた道をさらにすすむと川原小屋に着く。川原小屋は10人程度収容可能で中も綺麗に整備されている。この時点で16:00であったが、狼平まで足を延ばすことにする。

 川原小屋をより先は基本的に川床を進むが、滝等には巻道の登山道がつけられている。1時間程歩くと桶ノ谷出合に出る。本谷は90度右側から流れ込んでいる。桶ノ谷出合を過ぎると傾斜が増し源流らしくなるが、足場はしっかり整備されているので心配ない。クライマックスの鉄の縄梯子を越えると、流れは穏やかになり、もう少し歩くと狼平に着く。17:28着。

 今日、弥山川に入ったのは私を入れて、4パーティーのようだ。ここまで2人パーティー2組、単独行者1人を追い越した。川原小屋に泊まった方が、縦走路から外れている分小屋の混雑は避けられるだろう。ただし、川原小屋-狼平間は、明るくなってからでないと行動は困難だ。

 狼平はこじんまりとした沢沿いの平だ。沢は天然記念物のイワナの亜種、キリクチの生息地として保護区になっている(ちなみに弥山川は熊渡から上部全領域が永年禁漁区)。狼平避難小屋は2階建ての綺麗な小屋で20人程度収容可能、小屋前にもテントが3張りくらいはれそうだ。小屋には大学生6人組パーティーと2人組パーティーが先着しており、2階を使わせてもらう。暗くなってから、川原小屋手前で追い抜いた女性2人パーティーが到着したが、外にテント泊することにしたようだ。

 7/3、朝3:30起床、4:00ヘッドライトを点けて出発する。弥山へは弥山川と別れ、左手の階段を登る。この階段、水で濡れているとても滑りやすく注意が必要。フクロウの声を聞きながら30分程登っていくと夜が明け、視界も開けてくる。右手に八経ヶ岳を見ながら、シダと苔の登山道をしばらく登ると弥山小屋に着く。ご来光には少し間に合わなかったが、雲海越しの朝日が美しい。

 弥山山頂から南へ下り、鹿よけの柵が設置してあるオオヤマレンゲの保護区を通り、30分程で八経ヶ岳に着く。八経ヶ岳山頂からは、雲海越しの吉野方面の山々、釈迦ヶ岳から玉置山へ至る奥駈道南部の山々、台高の峰々、素晴らしい展望が広がる。

 下山は弥山辻をまわり、頂仙岳、栃尾辻を経て天川川合に至る長い尾根を下る。この尾根はかつて、天川村と上北山村を結ぶ重要な生活道路として利用されてそうだ。尾根上部はシラビソとトウヒの林になっており、苔むした林床に落ちた種子から発芽した若い実生を観察することができる。弥山はシラビソ自生地の本州の南限となっていて、学術的にも貴重なのだそうだ。頂仙岳を過ぎるとブナとの混合林となり、ブナの大木を訪ねながらの明るい尾根歩きとなる。

 栃尾辻を過ぎしばらく下ると坪内谷からの林道に出る。林道には数10台程度駐車可能であり、天川川合からここまで車で上がってくれば、弥山までの日帰り往復も可能である。林道を過ぎると再び登山道に入り、天川川合までは高低差600mを下る。登山道を下ると川合集落の民家わきの登山口に出る。天川川合から駐車地点の熊渡までは、川迫川沿いに作られた遊歩道を辿ってさらに1時間程歩いた。

コースメモ:
・沢登り経験を有するリーダーのもと入山のこと。
・雨天、増水時は入山しない方が無難。
・危険個所には梯子、橋、鎖等が設置されており、特段難しい場所はない。梯子等は比較的新しくしっかりしているが、使用は自己責任、テスティングを怠らずに。
・コース全体として岩場、梯子等は滑りやすい。心配な場合は沢タビ(靴)があると安心かも。

タグ:弥山川、大峰、弥山、八経ヶ岳、双門コース


7/2
10:58熊渡(弥山川出合)(670m)
11:37白川八丁(810m)
11:59ガマ滝(850m)
12:44-12:50徒渉地点(910m)
13:15吊り橋(950m)
14:301,350mピーク(1,350m)
15:02-15:07ザンギ平の肩(1,470m)
15:30弥山川(1,370m)
16:00河原小屋(1,410m)
17:00桶ノ谷出合(1,510m)
17:38狼平避難小屋(1,600m)
 
7/3
4:00狼平避難小屋(1,600m)
5:10弥山山頂(1,895m)
5:36-5:41八経ヶ岳(1,914m)
6:00弥山辻(1,870m)
6:40日裏山(1,710m)
6:56狼平分岐(1,670m)
8:33栃尾辻(1,350m)
9:30林道(1,200m)
10:40川合(600m)
11:45熊渡(670m)
弥山川出合、熊渡。
弥山川出合、熊渡。

双門コース案内板。
双門コース案内板。

林道終点手前で左の小道に入り、白川八丁に降りる。
林道終点手前で左の小道に入り、白川八丁に降りる。

白川八丁。
白川八丁。

ガマの滝。
ガマの滝。

微妙な鎖場。
微妙な鎖場。

設置された橋、梯子のたぐいは概ねしっかりしているが、通行は自己責任で。テスティングは怠らずに。
設置された橋、梯子のたぐいは概ねしっかりしているが、通行は自己責任で。テスティングは怠らずに。

スギヒラタケ。
スギヒラタケ。

一ノ滝手前の岩場。登山靴だと少し厄介だ。
一ノ滝手前の岩場。登山靴だと少し厄介だ。

一ノ滝。
一ノ滝。

一ノ滝下流に架かる吊り橋で右岸に渡る。
一ノ滝下流に架かる吊り橋で右岸に渡る。

キイチゴ。
キイチゴ。

あじさい。
あじさい。

連続する梯子。
連続する梯子。

ザンギ平の肩から弥山川の川床まで下る。
ザンギ平の肩から弥山川の川床まで下る。

川原小屋、中も清潔、10人収容。
川原小屋、中も清潔、10人収容。

川原小屋からは半分沢登り。
川原小屋からは半分沢登り。

桶ノ谷出合、本谷は90度右へ。
桶ノ谷出合、本谷は90度右へ。

桶ノ谷出合より上流は傾斜が増し本格的な沢登り。足場・支点はしっかり整備されている。
桶ノ谷出合より上流は傾斜が増し本格的な沢登り。足場・支点はしっかり整備されている。

核心の鎖梯子。
核心の鎖梯子。

狼平まではあとわずか。
狼平まではあとわずか。

狼平。
狼平。

弥山への登り。
弥山への登り。

苔とシダの庭園。
苔とシダの庭園。

雲海、弥山山頂より吉野方面。
雲海、弥山山頂より吉野方面。

弥山山頂。
弥山山頂。

日の出。
日の出。

八経ヶ岳。
八経ヶ岳。

八経ヶ岳山頂。
八経ヶ岳山頂。

八経ヶ岳山頂より弥山を望む。
八経ヶ岳山頂より弥山を望む。

八経ヶ岳山頂より奥駈道南部。釈迦ヶ岳、玉置山方面。
八経ヶ岳山頂より奥駈道南部。釈迦ヶ岳、玉置山方面。

シラビソとトウヒの尾根道。
シラビソとトウヒの尾根道。

天川村川合集落の登山口。
天川村川合集落の登山口。